マンション購入において頭の痛い大きな問題が住宅ローンをどう組むかについてです。
そこで、わたしがマンションを購入した際に調べたことや自分で考えたことをもとに、住宅ローンについてテーマを分けながら数回にわけて記事を書いています。
今回のテーマは「繰り上げ返済」についてです。
今まで記事のなかで数回触れてきましたが、テーマとして取り上げていなかったので、繰り上げ返済についての巷の情報をもとに、わたしが理解している内容や考え、実際に繰り上げ返済をしたかまたは今後予定があるかなどについて書きたいと思います。
(なお、わたしはプロのFPではないため、一個人の体験や意見としてお読みください。周囲に聞ける人がいないといった方の参考になればと思っています)
地味に会社員を続けているが、メンタルが弱い(不安症)ためか、一つのことを考え始めると頭から離れず執着する性格。マンション購入においてもいろいろと調べ、悩み、条件を変え、歩き回った末にやっとこさ希望の物件の購入に至る。
繰り上げ返済とは
これまでの記事を通して知っている方も多いと思いますが、改めて説明すると「繰り上げ返済」とは、毎月の返済とは別にまとまった金額を一括で返済することで、借りている元金を減らすことができる手段のことです。
繰り上げ返済の種類
繰り上げ返済には2種類あり、「期間短縮型」と「返済額軽減型」といいます。どちらも借りた元金を早めに返す方法ですが、元金を減らした分をどうしたいかで選択します。
それぞれの違いを例で説明します(実際は利息も影響しますが、わかりやすくするために単純にしています)。
期間短縮型とは
期間短縮型とは、借りている元金が減った分、ローンを借りている期間を短縮する方法です。
例えば、以下のようなローン計画だったとして
ローン元金:3600万
毎月の返済額:10万円(年間120万円)
返済期間:30年
600万円を「期間短縮型」で繰り上げ返済した場合
ローンの返済期間が5年短くなります(120万x5年分=600万)。
毎月の支払金額は変わりません。
返済額軽減型とは
一方、返済額軽減型とは、借りている元金が減った分、毎月の返済額を減らす方法です。
例えば、先と同様に以下のようなローン計画だったとして
ローン元金:3600万
毎月の返済額:10万円(年間120万円)
返済期間:30年
600万円を「返済額軽減型」で繰り上げ返済した場合
毎月の返済金額が約8万円になります(3600万-600万=3000万÷30年÷12か月)。
返済期間は変わりません。
繰り上げ返済のメリット・デメリット
繰り上げ返済をすべきか迷っている方は、どのようなメリット・デメリットがあるのか気になるところでしょう。
繰り上げ返済のメリット
メリットに関しては、主に以下があります。
- 利息が軽減できる
- 将来の資金計画が立てやすくなる(期間短縮型の場合)
- 月の支払いを減らせる(返済額軽減型の場合)
利息が軽減できる
すべてこれに尽きると言ってもいいくらいですが、借りている元金を減らすことで、利息が軽減できるのが最大のメリットです。借りている金額が大きく、ローン金利が高いほど、このメリットは大きくなります。
なお、より軽減効果が高いのは「期間短縮型」です。
元金だけでなく、借りている期間も短くなるため、より利息が減るということですね。
将来の資金計画が立てやすくなる(期間短縮型の場合)
例えば、30年の返済計画だと定年後もローンの支払いが続いて気がかり…という場合、繰り上げ返済することでローンの支払いを早めに終わらせるというよう計画を変更できます。
月の支払いを減らせる(返済額軽減型の場合)
月の返済が当初の予定より厳しくなってしまった場合、繰り上げ返済をすることで月の返済額を減らすことができます。
転職や病気、家族の事情などで一時的に収入が減ったり、支出が増えたりなど、さまざまな事情で月の返済額を変えたいという場合もでてくるかと思いますが、そんな人にとってはメリットがあります。
ただ個人的には、そもそも繰り上げ返済に充てるお金があるなら、月の支出の補填もできるはずなのでは?と思います。よって、返済軽減型を選択する場合は、月の支出に充てるよりは返済に充てた方が利息の軽減効果が高い場合などではと思っています。
繰り上げ返済のデメリット
一方、繰り上げ返済のデメリットは、主に以下と言われています。
- 手元の現金が少なくなる
- 団信(団体信用保険)の保証金額が減る
- 住宅ローン控除額が減額される場合もある
手元の現金が少なくなる
繰り上げ返済をした分、当然ながら手元の現金が減ってしまいます。
潤沢に現金貯蓄がある人は良いですが、貯金が少ない場合や株や債券ばかりといった場合、想定外の出費に対応できなかったり、下落時に関わらず株を手放す羽目になるといったリスクがあります。
団信(団体信用保険)の保証金額が減る
団信とは、死亡や重度の障害などでローンが返せなくなった場合、支払いが免除される制度ですが、当然ながら借りている金額が対象です。
例えば、
手元に1500万円
ローン残額が2000万円
だとして、
繰り上げ返済を1000万円した場合、
手元の残額は、1500万-1000万=500万円、
ローン残額は、2000万-1000万=1000万円
になります。
その後、大きな病気などになり団信の保障対象となったとしても、当然ながら免除されるのはローン残額のみ(1000万円)なので、こんなことなら繰り上げ返済しなければ良かった…という状況にもなり得ます。免除の条件に預貯金の額は関係ないためです(以前、不動産屋に確認済み)。
住宅ローン控除額が減額される場合もある
ローン残高が減ることで、ローン控除の金額が減る可能性があります。
わたしは控除の対象ではないので、このあたりは詳しくないのですが、必ず減額というものではなく、残高やローン金利により変わってくるようです。
繰り上げ返済をすべき人やタイミング
メリット・デメリットを理解したうえで、それでもどうすべきかどうか、もし繰り上げする場合はいつが良いのかなど、悩む方も多いと思います。
繰り上げ返済に向いているケース
繰り上げ返済をしても良い、した方がメリットがあるというのは以下のような場合です。
資金に余裕がある人
これまでの話からも想像がつくかと思いますが、繰り上げ返済をする場合は、ある程度現金に余裕があった方が良いです。
ローン控除や団信に影響がない、または気にならない人
繰り上げ返済をしてもローン控除は減額にならない、またはもともと控除の対象でない人や、団信はあてにしてないから、それより早く借金を返したいという人などです。
現在のローン金利が高い人
繰り上げ返済をする人のほとんどは、利息を減らしたいという理由だと思います。
今の低金利時代では、数百万円を返済しても利息の減額効果はあまりないと言われていますが、フラット35など金利が高めになっている人は、繰り上げ返済による利息の減額メリットも大きくなるでしょう。
繰り上げ返済をした場合のシミュレーションができるサイトがいろいろあるので、そこで計算をしてみるのが良いと思います。
繰り上げ返済をするタイミング
やっぱり繰り上げ返済をしようと決めたとして、次に迷うのが「いつすべきか」です。
これについては、わたしが得た情報を二つ紹介します。
- 早ければ早いほど良い
- 金利が上がるタイミングが良い
早ければ早いほど良い
これはなんとなく理解できるかと思います。
ローンは借りている額(元金)が大きいほど、かつ借りている期間が長いほど利息が高くなるので、早い段階で借りている額を減らした方が、より減額のメリットを受けられることになります。
金利が上がるタイミングが良い
これは以前、不動産関連のサイトか動画で紹介されていた情報です。
借りて間もなく繰り上げ返済をした場合と、その後に金利があがってから返済した場合を比較した結果、ローン金利が上がったタイミングで返済をする方が利息の軽減効果が高いというものでした。
ただ、金利があがった時点のローン返済残額や期間にもよると思います。
40代後半(アラフィフ)独身でマンションをかったわたしの場合
繰り上げ返済について、予想以上に説明が長くなってしまいましたが、では実際に、わたしが繰り上げ返済をしたか、またはする予定があるかについてご説明します。
繰り上げ返済の経験有無
購入後間もなく、1回だけ繰り上げ返済をしました。
ただ、純粋な繰り上げ返済というよりは、もともと頭金としようとしていたお金を後払いにしたような感覚です。
頭金として一括で高額を払うのがコワかったので(万一計算が間違ってたらどうしようとか… ←これでよく家買えたな)、予定していた頭金の半分を一旦払い、一呼吸置いてから残りを繰り上げ返済で払うという形にしました。
この時の返済方法は期間短縮型です。70歳くらいまでローン返済期間になっていたため(汗)、期間を短縮したかったというのと、期間短縮型の方が減額効果が高いからという理由です。
今後の繰り上げ返済の予定
毎月、ローンの引落明細を見る度に、いっそのこと繰り上げしてしまおうか…
とも思ってしまうのですが、今のところする予定はないです。
理由は、デメリットにも書いたようなことで
- 現金を減らしたくない(オラ金が必要だ)
- 団信の恩恵を受ける可能性を残しておきたい
- 金利の減額メリットが少ない
などです。
ただ、今後もしローン金利が大きく上がることになったら、その時には繰り上げをすべきか考えると思います。
まとめ:繰り上げ返済すべきか迷っている方へ
もし、資金に余裕はあるけど繰り上げ返済しようか迷っている方がいれば、個人的には少額だけ繰り上げ返済をしてみる、またはしばらく寝かせて考える、というのをおすすめします(慎重なタイプの意見ですが)。
わたしのような50代でさえ、今後のライフスタイルに変化はつきものです。
予想以上に高額な出費が必要になったり、月額のローン返済を減らしたいと思う状況になったりなどもあり得るので、繰り上げ返済の金額や方法で調整できるよう、慎重に進めるのもありだと思います。
以上、アラフィフおひとりさまの「住宅ローンどうする?:繰り上げ返済について」でした!